心リハ♡NOW

心リハ♡NOW

24







VOL.79

寒さ深まるこの季節。低体温症には要注意!

冬の寒さもいよいよ本番。旧暦では2月は立春を迎え春の始まりとされますが、まだまだ寒い日が続いています。特にこの冬は10年に一度の大寒波といわれるほど寒い日が襲来し、その影響で大雪が降ったりと全国各地で様々な被害も報告されています。
そして寒さにともない健康障害も起こりやすく、特に極寒の中では何かと体調を崩しやすくなります。体調を崩さないまでも誰もが寒さで体が凍え、震えるなんて経験をしているのではないでしょうか。
しかし、その寒さで震える状態が長時間続くことは低体温症を引き起こす原因にもなります。あまり耳にすることの少ない低体温症ですが、実はとても怖い症状でもあるので、これを機会にぜひ注意喚起をしていきましょう。

免疫力が最も高まるのは冬

寒くなると風邪をひきやすくなり、冬は免疫力が落ちやすいと考えられがちですが、実は免疫力は秋から冬にかけて高い状態にあります。本来、人間を含めた生物は、寒さに備えてエネルギーを体内に蓄積させるメカニズムが働くため、免疫力も上がるとされます。そして冬はどちらかというと体力を温存するための季節になります。動物が冬から春にかけて冬眠するのがその例です。
しかし、人間は季節問わず暖かい時期でも寒い時期でも変わらないパフォーマンスで働き、日常生活を営んでいるため、寒い冬に体調を崩しやすくなります。本来なら活動レベルを落とさなくてはいけない時期にオーバーワークになってしまう…これが冬に風邪をひきやすくなったり体調を崩す理由のひとつにもなっているのです。

体温と免疫力の関係って?

実はこの免疫力、体温によってかなり変わってくるというのはご存じでしょうか。
体温は免疫力に大きく関与しており、平熱を保つことで免疫力も維持されるといわれます。当然体温が下がると免疫力も低下するわけですが、簡単にいうと、体温が下がることで血流も悪くなり、免疫細胞が体の隅々にいきわたらなくなるため免疫力が下がる、ということになります。
当然、冬になると寒い外気にさらされるため、体温も低下しやすくなります。低体温は病気ではありませんが、身体深部の体温(深部体温)が下がる「低体温症」には気を付けなければいけません。人間は深部体温が35℃以下になると体の機能が保てなくなるといわれます。
深部体温というと上昇した際の熱中症リスクを思い浮かべる方も多いと思いますが、実はそれと同じくらいの頻度で低体温症による健康被害や死亡の報告がされているのが現状です。

低体温症の原因

低体温症とは深部体温が35℃以下になった状態をいいます(1)。人間の体温には“皮膚体温”と“深部体温”の2種類があり、通常私たちが腋下(脇の下)などで測定している体温は皮膚体温になります。一方で深部体温は内臓の体温となりますが、最も高いのが肝臓で38.5℃、直腸で38℃といわれ、これらの深部体温は生命維持に関わる体温を反映しています。
このように体内では常に生命維持に必要な熱量を産生していますが、それよりも体内から失われる熱量の方が上回った時に低体温症となります。
低体温症で考えられる一番の理由は冷たい外気にさらされることですが、それ以外にも冷たい地面に座る、水に濡れる、風にあたるなどの悪条件が重なると熱喪失量が増大し、低体温症リスクは上がります。
熱中症の発症が気温だけでなく湿度なども関係しているといわれるのと同じで、低体温症も様々な要因が重なってしまうと、極寒の環境下でなくても容易に発症する可能性があることを知っておきましょう。

低体温症の予防

それではどんなことに気を付けて意識していけばいいのでしょうか。低体温症の予防としては運動、入浴、食事、運動が挙げられます(2)。

・適度な運動
低体温症の原因の一つに運動量の低下による筋肉量の減少や基礎代謝量の低下があります。
ウォーキングやスクワットなど日常でこまめに体を動かし、筋肉を活性することで基礎代謝量も上がり筋肉UPにもつながります。

・正しい入浴
40℃前後の温湯に10分ほどつかると深部体温が1℃上昇します。体温が上がることで免疫力UPも期待できます。正しい入浴方法については“心リハNOWvol.79”をご覧ください。正しい入浴でリラックスしながら体を温めましょう。

・暖かい食事
体を温める食材や調理法を積極的に取り入れましょう。冬は根菜類が安く出回っており、それらをじっくり加熱調理することで体の芯から温まる料理ができあがります。おいしく食べて体を温める、一石二鳥です。

・適正な防寒
外出時には必ず防寒をしましょう。防寒は上着を着るだけでなく、マフラーやネックウォーマー、帽子、手袋などを装着して体の露出部を少なくすることが肝心です。厚手の靴下やレッグウォーマーで熱を逃さないのも大事です。

このように低体温症予防には、“体温を逃さないこと”や“体温を奪われないこと”が要です。
そして低体温症は寒波や極寒でなくても気温の低い時期は誰にでも起こり得る可能性があることを忘れず、身体を守るための意識をもって心も体も温めていきましょう。