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VOL.77

冬に多い食中毒、ノロウイルスに注意!

12月になり本格的に冷え込むことが多くなりました。寒くなると風邪やインフルエンザなどが流行るため、予防接種など感染対策をする方も多いのではないでしょうか。
ウイルスを介して罹患する場合、接触感染や飛沫感染のリスクがあることが知られていますが、実は食中毒でもウイルスによって感染するものが存在します。
それの代表的なものがノロウイルスです。細菌感染の食中毒は感染経路が基本的に経口感染なので、その細菌の付着した食品を食べなかったら罹患することはありません。しかし、ノロウイルスは空気中に飛散したウイルスでも感染リスクがあるという恐ろしい食中毒です。
冬に多いとされるノロウイルス。これからの季節に備えノロウイルスについて知っておきましょう。

ノロウイルスって何?感染経路は?

ノロウイルスは食中毒の原因となるウイルスで、11月~2月の冬に多発する傾向にあります。図1にノロウイルスによる食中毒発生状況を示しましたが、やはり例年冬に多いことが分かります。

ノロウイルスは非常に感染力が高いことが特徴で、塩素消毒に対する耐性が他のウイルスより強く対策に難渋するとされます1)
感染経路としては主に➀経口感染、➁接触感染、➂飛沫感染、➃空気感染の4つが挙げられます2)。まず➀経口感染はノロウイルスに汚染された食品を十分に加熱処理されていないまま摂食すると起こります。また、ノロウイルスに感染した人が調理した際に、調理した食べ物にノロウイルスが付着し、それを食べることで二次感染をする場合もあります。
次に➁接触感染ですが、感染者の排泄物(便や吐物)に触れることで起こります。そして接触感染でも感染者が排便や嘔吐をした後に、十分な手洗いをせず器具や家具にノロウイルスを付着させてしまうことが原因で二次感染をします。そして➂飛沫感染は感染者の排泄物を処理している際などに、ウイルスの飛沫を吸い込むことで起こります。最後に➃空気感染は感染者の排泄物が乾燥して空気中を浮遊した際に、ウイルスを吸い込むことで起こります。

恐るべしノロウイルスの生態

ノロウイルスは人間だけを感染宿主とし、人間の空調上皮細胞で増殖します。ノロウイルスの粒子は塩素に抵抗性があるため、便や吐物に排泄されたウイルスは浄化槽や下水処理場でも死滅せずに存在します。そのため、それが流入し水中の有機物をエサとしている二枚貝に蓄積され、生食用の貝類を食べることで感染リスクが上がります。「生ガキでノロウイルスの食中毒になった」と耳にする理由はノロウイルスの生態にあるのです。
ノロウイルスに感染すると発症までの潜伏期間は24~48時間とされ、発熱をともなう嘔吐、下痢、腹痛などが表れます。この症状は1~2日続き、徐々に治癒していきます。しかし、まれに感染しても無症状の場合や発症しない場合もあり、その間にウイルスを拡散してしまうということも考えられます。
また、ノロウイルスは感染力の強いウイルスゆえに、1件あたりの感染者が多発し患者数が増加してしまう。という厄介な食中毒ウイルスなのです。

正しい知識でノロウイルス対策を

ノロウイルスに限ったことではありませんが、食中毒の基本は菌やウイルスを「付けない・持ち込まない」「増やさない・広げない」「やっつける」ことです4)。図2に食中毒予防の3原則を示しましたが、対策としてはいたって基本的なことばかりです。

具体的には手洗いを励行することや、調理器具もよく洗浄すること。そして何より加熱調理を怠らないことです。一般的に加熱温度と時間は中心温度75℃で1分以上といわれますが、家庭で中心温度を計測しながら調理をすることはまずないので、加熱をきちんとする意識を持ちましょう。
もし感染してしまった場合でも、感染を広げないために正しい汚物の処理方法を知っておくことも必要です4)。図3にその処理方法をまとめてありますので、ぜひこの機会に知って欲しいと思います。ポイントとしては排泄物が乾燥する前に処理をすることです。乾燥するとウイルスが飛沫したり浮遊する確率が高くなり、二次感染にもつながりかねません。

最近は新型コロナウイルスの影響で、他の感染症などの存在が忘れられがちですが、冬は何かと様々なウイルスが活動しやすい季節です。ノロウイルス食中毒もそのひとつ。
日頃から感染対策を心がけ、“正しく恐れる”ことを身に付けましょう。