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ナースBLOG Vol.4

豊橋ハートセンターで働く診療看護師(Nurse Practitioner:NP)

2021年11月23日
病棟、集中治療室、手術室とシームレスに活動するということ

当院では2021年4月から病棟、集中治療室、手術室とシームレスに活動する診療看護師(NP:Nurse Practissoner)が勤務しています。今回はそのNPの活動の一部を患者の言葉をかりて報告していきたいと思います。

緊急手術に混乱する患者様へのフォロー

昼過ぎ頃、豊橋ハートセンターに救急隊から1本の連絡があった。胸背部痛を主訴に大動脈解離が疑われる患者の救急要請である。当院到着後、採血やCTなどの検査を行うと、医師やスタッフの間で治療方針が協議され、すぐさま緊急手術が必要な状態だと判断された。医師より検査結果・治療方針が患者に伝えられ、いざ緊急手術の準備が始まった。しかし、「緊急手術が必要だとは思ってもいなかった。大丈夫ですか?」と患者が不安の言葉を漏らした。どうやらこの患者は医師からの説明の際に、自分の置かれている状況や病状に対して、衝撃のあまり医師の言葉が耳に入ってこなかったようだ。私から医師の説明の補足を行い、改めて緊急手術に対する不安を確認すると「十分に理解できました。今はただ無事を祈っているだけです。手術中のことや手術後のことまで丁寧に説明してくれてありがとう。」と、説明前の不安の表情も少し和らぎ、笑みを見せてくれた。そして、緊急手術が始まる。幸いにも合併症を起こすことなく無事に手術を終え、集中治療室に戻ってくることができた。

術後のメンタルケア

そして翌日、全身麻酔から覚め、会話ができるようになった段階で医師にて手術内容や結果、現在の病状について説明を受けると「無事に手術が終わったのですね。本当に良かったです。」と手術の傷口が痛むなか安堵の表情を浮かべ、笑顔で答えてくれた。さらに数日後には一般病棟へと移動になり、術後回診に同伴し、傷口の状況や全身状態の観察を行う。病状や傷口は順調な経過だったが、患者は何か言いたげな表情をしていた。その表情が気になり、回診後に改めて1人で伺うと「体調面は手術の傷が痛むくらいで問題ないのですが、入院費が心配で…。先生の前では言いにくくて、回診の時には言えませんでした。」と不安を打ち明けた。すかさず医療ソーシャルワーカーへ相談し、説明を受けたあとには「入院費の心配がなくなりました。これで退院後の不安も減りました。」と言葉をかけてくれた。

そして、リハビリも順調に経過し退院前に患者のところへ行くと「手術の前から退院まで、あなたがいてくれて本当に良かった。病気のことや退院後の生活のことまで何でも答えてくれてありがとう。不安なく退院することができます。ありがとう。」と言葉を頂いた。

診療看護師としてのこれから

NPとして治療前から治療後まで継続的に関われることで、疾患や治療の事だけでなく退院後の生活についての不安や疑問などをいち早く察知することができました。治療経過に沿って患者さんが望むことは何かを考え、闘病生活で抱える不安や苦痛を少しでも和らげるような支援ができたらと思います。