心リハ♡NOW

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VOL.59

歯は健康のバロメーター オーラルフレイルを防ぎましょう

歯はとても大事。ということは言うまでもありませんが、一方で加齢とともに歯も弱くなっていくのも事実です。歯は健康指標のひとつであり人生100年時代と言われていますが、死ぬまで自分の歯で食事ができるというのはとても理想的なことです。そこで今回はオーラルケアそのものが健康習慣ともいえる“歯”の話に触れてみたいと思います。

目指せ8020!!80歳になっても自分の歯を20本以上保とう

「8020推進運動」とは、“生涯、自分の歯で食べることを楽しむ”という願いを込めて、厚生労働省と日本歯科医師会が1989年に発足しました*1。具体的には80歳で20本以上の歯を残すことを目標としています。発足当初、その割合は10%にも満たなかったようですが、現在では50%以上もの方が80歳で20本以上の歯を残せるようになり、健康運動の成功例のひとつとなりました。
図1がその推移を示したグラフになります。そして昨今では自分の歯を保持することは全身状態の改善や健康の維持につながることも分かってきました。

オーラルフレイル予防で健康管理

オーラルフレイルとは、オーラル=口腔とフレイル=虚弱を合わせた言葉です。
歯の欠損によって食べこぼしや嚙み合わせの不具合が生じ、知らず知らずのうちによく噛まない癖がついてしまいます。よく噛まないことで口腔内の機能が低下してムセなどが生じ、いわゆる誤嚥につながっていきます。オーラルフレイルにより口から十分な栄養が摂れなくなると、やがてその影響は全身におよび、体力や筋力の低下など全身のフレイルへと陥っていくのです。
図2に口腔機能の低下への悪循環*2、図3にオーラルフレイル概念図*2を示します。

歯を守るためにはセルフケアが大事

セルフケアと聞くと難しく感じるかもしれませんが、大事なのは毎日の歯磨きです。生活習慣病を予防するために食生活を見直したり運動習慣を身につけるのと同じように、歯を守るためには正しい歯磨きをすることが必要となります。ここで重要なのが“正しい歯磨き”ということ。毎食後に歯を磨いているからといって、それが適当だったりいい加減なやり方ではあまり意味がありません。また、しっかり磨いているつもりでも意外に磨き残しがあったりするものです。
図4の歯垢のたまりやすいところ*3、図5の歯の磨き方完全ガイド(基礎編)*4を参考に自分に合った歯磨きを身につけ、健康な歯、そして健康な体作りをしていきましょう。

もっと知りたい方へ

放っておくと怖い歯周病

歯周病とは、口腔内の細菌感染によって起こる炎症性疾患のことを言います。歯周病は、歯に付着した歯垢の中の細菌によって歯肉に炎症を引き起こします。通常は痛みを伴わないために自覚症状がないまま悪化することが多く、気付いた時には歯が抜けてしまうこともあります。歯を失う原因として最も多いのは歯周病とも言われているため、日ごろから丁寧な歯磨きによる予防や定期的な歯科受診による早期発見・治療を心掛けましょう。

そして歯周病を放っておくと、その細菌が血液中に移動し「感染性心内膜炎」や「虚血性心疾患」を発症することがあります。原因としては歯周病菌やその菌体成分などが血管に障害を与えて炎症を起こし、炎症によって作られた物質である炎症性サイトカインが心臓や血管に入り込み、血管内皮細胞などの免疫細胞を活性化し、心臓や血管の疾患を引き起こすと考えられています。

このように歯周病は放っておくと全身状態に影響すること、また歯周病は誰にでも起こり得るということを認識し、日頃から自分の歯を守る意識を持ちましょう。