
心臓外科医でスーパーバイザーの米田先生とおしゃべりします。(1)
「弁膜症と不整脈」
―― おしゃべりハート。大山町の豊橋ハートセンターで、今日は、心臓外科医でスーパーバイザーの米田先生とおしゃべりします。それでは、今日も豊橋ハートセンターに伺っておりまして、今週からしばらくは、今年9月からこちらに勤めていらっしゃいます米田先生にお話を伺ってまいります。先生、よろしくお願いいたします。
米田 よろしくお願いします。
―― 先生は、心臓外科の先生。
米田 はい、そうです。
―― 先生はこちらでは「スーパーバイザー」という肩書を持っていらっしゃいますが、横文字でよくわからないんですけれども、スーパーバイザーでハートセンターというと、どういうお仕事をされるんですか。
米田 みずから手術をしたり、あるいは若い先生らの手術を指導したり、手術室でチームの全体の力を上げるような仕事ですね。
―― 先生なんですね。
米田 一応そういうことですね。
―― 心臓外科の先生。
米田 プレーイングマネージャーという感じですかね。
―― なるほど、そういうお仕事をしていらっしゃる。じゃ、先生が手術をされる時には、ハートセンターの若いお医者さんは、わあっと集まってというような。
米田 みんなで集まって、いいディスカッションをしながら、若い先生にやってもらいながらというような時もありますし、自分でやりながら、それを若い先生に見てもらってとかいうこともありますね。
―― 我々患者の立場としては、手術が終わると、「手術が終わった。先生、ありがとう」で終わりなんですけれども、先生たちは手術一つ終わった後、その手術に対していろいろディスカッションがあったりとかするんですね。
米田 しますね。その手術が非常にきれいにまとまって、うまくいっている場合でもディスカッションしますし、少しでも何か反省点があれば、それを次の手術とか治療に生かすように、それはそれでまたディスカッションしますね。
―― そういうお仕事をしていらっしゃる米田先生なんですけれども、今日は、「弁膜症と不整脈」についてのお話を伺おうと思いまして、このコーナーでもよく出てくる弁膜症と不整脈なんですけれども、改めてもう一度、弁膜症と不整脈の言葉の説明を伺いたいんですけれども、弁膜症というのは。
米田 弁膜症というのは、心臓の中の弁で、血液の流れが逆方向に行かないようにする弁ですね。この弁が壊れる病気を弁膜症と言います。
―― 心臓というのは血液の流れが一方通行なんですね。
米田 そうです。
―― ここから入って、ここから出るって決まっている。
米田 はい。それが弁が壊れると逆方向に流れたり、流れが悪くなったりするんです。
―― じゃ、ちゃんと血液が流れないということになってしまう。
米田 そうです。そうなると患者さんは非常に苦しくなったり、状況によっては危険な時もあります。
―― そうですよね、血液がちゃんと流れてくれないと死んじゃうだろうなと、素人考えでも思いますが。
米田 そうです。そして弁膜症と診断がつけば、弁を形成するか人工弁を入れるかして治ります。弁がやわらかければほとんどは形成で直せます。
―― 弁が悪くなる、それが弁膜症。不整脈というのは。
米田 不整脈というのは、不整脈自体でくる場合もありますけれども、弁膜症で心臓が大きくなって、その結果、脈も乱れてくるというようなことも結構たくさんあるんですね。
―― 脈って、よく手首とか首とかで、ぴくん、ぴくんしているのがわかりますけれども。
米田 脈の不整というのはいろいろなものがありますけれども、比較的多いのは、脈が不規則になる。トン、トン、トン、トンと打たずに、トトトン、トン、トントントンというように、ばらばらに打つというような、心房細動と呼んでいますけれども、こういう不整脈でいろいろな恐いことが起きる時があるんですね。
―― 今日は、あえて弁膜症と不整脈と二つ並べてみたというのは、弁膜症と不整脈は関係があるということなんですか。
米田 弁膜症で不整脈が起こることっていうのは結構たくさんありますし、手術になる場合、弁膜症の手術の時にその不整脈も一緒に治すということがかなりできますので、そういう意味で今日これを二つ同時にテーマとして挙げさせていただいたんです。
―― 不整脈の原因というのは、ほかにもいろいろあるわけなんですが、ただ、その一つとして弁膜症が原因になっていることがしばしばある。
米田 そしてこの心臓が大きくなっている時に、脈というのはある種、電気信号が神経を通じて流れるんですけれども、その流れ道が何かおかしくなって、ばらばらに不規則な流れ方をするんです。それ以外の理由で不整脈が起こる時もありますけれども、弁膜症で起こる不整脈というのは、脈が不規則になる心房細動という不整脈が多いんです。心房細動ですぐに死んだりはしないんですけれども、ただ、心房細動のために血の塊が心臓の中にできて、それで脳梗塞になったり、いろいろ困ったことが起こることはよくあるんですね。以前、野球の長島監督とか、あるいは総理大臣の小渕さんとかが非常に困った状態になられたのは、やはりこの心房細動が関係していると言われています。
―― 脈が不整になることによって、血液の流れが悪くなって。
米田 よどむんですね。よどんだところで血が固まって粒みたいになって、その粒が頭に流れて行けば、頭の血管をそれで詰まらせますから、そこで脳梗塞になってしまうんですね。だから、元は心臓であっても、出てきた結果は頭がやられる。やられ方が大きければ死んでしまいますし、死ぬほど悪くなくても、右手、右足が動かなくなるとか、そういう非常に困ったことが起こるんですね。したがって、それらをできれば予防していく。予防ができない場合でも、できるだけ早くきちんと治してしまうのが大事なんですね。心房細動の多くは弁手術のときに一緒に治せます。
―― 不整脈自体はそんなに心配することではないんだけれども、それが原因で、そういう血の塊ができると恐いよということなんですね。
米田 ええ、それは恐いですね。
―― さらに言うと、その不整脈があらわれている原因は、弁膜症が大もとになっていることがあると。
米田 しばしばありますね。不整脈だけでくる場合もありますけれども。
―― 弁膜症は、弁が悪くなるといけないということですけれども、「弁が破れているなあ」とか、「弁が最近、おれ、硬いなあ」というのは、自覚症状はないですよね。
米田 弁膜症もいろいろありますけれども、やはり息苦しいとか、例えばこれまで近所の坂道を歩いてもそれほど苦しくなかったのに、最近は、もう途中で休憩しないと上までのぼれないとか、胸が痛くなるとか、ふらふらするとか、何かそういう症状が出ることはありますね。
―― そうですか。
米田 それから、体を動かすことはできるけれども、やたらとドキドキするとか、そういうのもあります。中には、思ったより症状が出にくい、しかし、大動脈弁閉鎖不全症のようにいつの間にか心臓がうんと悪くなっているというような種類の弁膜症もありますので、やはり注意は必要ですね。
―― じゃ、ちょっと息苦しいなと思ったら検査をすれば弁膜症というのは割と発見はできるわけですね。
米田 そうです。今、診断はかなり確実に安全にできます。
―― 検査は簡単にできるんですか。
米田 まず、その弁膜症があるかどうか、あるいはどのくらい重いか、それは比較的簡単な、痛くない、危険性のない検査でかなりのところまでわかります。
―― レントゲンかなんか撮るんですか。
米田 レントゲンも役に立ちます。もう一つは心電図。心電図も、横になっていれば2〜3分で撮れますので、それから一番役立つのは心臓のエコー、いわゆる超音波ですね。これも全然痛くなく撮れますので、超音波で、心臓の中に4つの弁があるんですけれども、それぞれすべてきちんとわかりますし、心臓がどれぐらい無理しているかというのもわかります。
―― よく妊娠された女性が、「あっ、おなかに赤ちゃんがいる」って見ている、あのエコーですよね。
米田 あれです。
―― あれで心臓を見ればわかるということなんですね。
米田 はい、よくわかります。とにかく痛くない、あるいは危険性がないという意味で非常にいい検査だと思います。
―― 赤ちゃんを見ているぐらいですから安全なものだと思いますけれども、そういった検査で弁膜症というのはわかるんだそうです。怪しいなと思ったら早めの検査を受けていただければということですね。
米田 はい。
―― ということで、弁膜症が引き起こす不整脈、そして、不整脈から死につながることがあるんだよということで、その関係を今日は米田先生に伺いました。先生、どうもありがとうございました。
米田 どうもありがとうございました。