心リハ♡NOW

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VOL.01

Vol.01:心臓をメンテナンスする治療
「包括的心臓リハビリテーション」

心臓は、全身に血液を循環させるメインポンプです。心臓の病気が長引くと、その影響は心臓だけにとどまらず、全身に及びます。真に調和のとれた健康なからだを取り戻すには、手術やお薬だけではもはや不十分、という考え方が、専門家の間ではもはや定説。適切な栄養のもと、適度にからだを動かし、休養をとる、という日々のライフスタイルが、大変重要です。

心臓の病気の方にこそ、適度な運動は必要です
適度な運動は、健康増進のためにはもちろん、心臓血管疾患を持つ患者さんにも、有益な効果をもたらすと言われています。心臓がメインポンプとすれば、骨格筋は補助ポンプ。筋肉を動かすことにより、局所の血流が促進され、心臓に血液を返してくれます。その分、心臓の負担が軽減します。以下は、運動の効用の一部です。
  1. 1.運動能力が増加し、動作が楽になる
  2. 2.血管内皮機能を改善し、血栓を予防する
  3. 3.心筋梗塞の再発・突然死を予防する
  4. 4.細胞の代謝機能を改善し、メタボを解消する
  5. 5.自律神経機能を改善し、高血圧・不整脈を予防する
  6. 6.不眠を解消する
  7. 7.不安やうつ状態を改善する
  8. 8.認知症を予防する など
包括的心臓リハビリテーションとは
とはいっても、自分で運動するのは不安、何に気をつけたらいいか分からない、という方は少なくないでしょう。「包括的心臓リハビリテーション」とは、心臓血管系の病気にかかった患者さんのための、治療プログラムのひとつです。体力と自信を回復し、快適で質の高い家庭生活や社会生活への復帰、再発や再入院の防止などを目標としています。心肺運動負荷試験(CPX)に基づく適切な運動処方を行い、現在の体力や心機能に合わせた運動の機会を提供します。同時に、看護師や管理栄養士などによるライフスタイルや栄養状態を改善するためのカウンセリングを取り入れ、「包括的」な視点で健康寿命の改善を目指します。
医療保険の適応

狭心症、急性心筋梗塞後(回復期)、慢性心不全、大血管疾患(大動脈瘤、大動脈解離等)、閉塞性動脈硬化症、心大血管手術後において、医療保険を利用しての心臓リハビリテーションが認められています。ただし、いくつかの条件を満たす必要がありますので、ハートセンターの外来にてご相談ください。

もっと知りたい方へ

包括的心臓リハビリテーションとは・・・?

ヒトのからだには60億個の細胞があるといわれ、その一つ一つは、わたしたちが取り込んだ栄養や酸素を用いて合成されます。栄養素や酸素は血液にのって運ばれますが、運ばれるのはそれだけではありません。各臓器や筋肉を合成し、調和よく動かすための物質や、神経系、免疫系、内分泌系など、あらゆる物質が血液を介して運ばれ、また老廃物が回収されます。その血液を循環させる原動力が心臓という「メインポンプ」です。これらの機能がうまくはたらくためには、メインポンプである心臓が絶え間なく適切な機能を果たさなければなりません。

専門職チームによる、ひとりひとりに合わせた「個別的・包括的アプローチ」

病気の再発を防ぎ、より健康な状態に近づけるには、適切な栄養をとり、適切な生活習慣を維持する必要があります。しかしながら、ご自身がどれだけ運動してよいかわからないという方は、少なくないでしょう。体力や筋力、生活習慣に合わせた運動のしかたでなければ、効果がないばかりか、かえって心臓や全身に悪影響をおよぼす場合もあります。また病気の再発を防ぎ、より健康な状態に近づけるには、適切な栄養をとり、適切な生活習慣を維持することも欠かせません。

ハートセンターでは、通院による心臓リハビリテーションのプログラムを用意しています。心臓リハビリテーションチームは、医師・看護師・理学療法士・管理栄養士・薬剤師ら、さまざまな専門職で構成されています。
通院リハビリテーションの方は週1~3回のペースで来院されており、入院リハビリテーションの方も含めると、1日に約35~50名がリハビリテーションを行っています。現在のところ、こうしたプログラムを受けられる施設は、東海地区においては数えるほどしかありません。

栄養状態を整え、生活習慣を見直し、適度な運動を行うことで、ほかにも以下のようなさまざまな効果が期待できます。
詳細は、このコラムにて随時掲載していく予定です。

  1. 1.運動耐容能の向上(持久力・スタミナの向上)
  2. 2.血管内皮機能の改善・動脈硬化の予防
  3. 3.細胞・組織の代謝機能改善
  4. 4.自律神経機能の安定化:血圧、脈拍、睡眠などに影響
  5. 5.神経精神機能の安定化:不安やうつの改善・認知症予防