心リハ♡NOW

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VOL.55

アルコールと上手に付き合うために
節度あるアルコール摂取を忘れず

今年は新型コロナウイルスの影響で宴会や飲み会などの機会が少ないのが現状です。しかし、年末年始やステイホーム中はどうしてもアルコール摂取量が増えてしまう可能性もあります。今一度、適正なアルコール摂取、節度ある飲酒について振り返りましょう。

アルコールが分解されるメカニズム

通常、私たちが口から食べる食物の栄養は口腔内や胃内で消化され、小腸で吸収されます。しかし、アルコールは小腸で80%、胃からも20%吸収され、血液に入り全身にいきわたります。お酒を飲んですぐに赤くなったりボーッとしてくるのは、胃で吸収されるために体に出る反応も早いということなのです。図1*1に示すように、体内に入ったアルコールは肝臓で分解されます。この際に生成された体に有害なアセトアルデヒドは無害なアセテートに分解され、体外に排泄されていきます。

肝臓がアルコールを分解してくれるわけですから、毎日お酒を多飲するということは必然的に肝臓の仕事量を増やしているということです。最初は頑張っている肝臓もやがて疲弊し、破綻する。それがアルコールによる肝硬変につながっていくわけです。

アルコールの適量とは

お酒の適量とは純アルコール量にして20g程度とされています。お酒の種類によってアルコール度数も違うため、20gの許容量も異なります。表1*2がその一覧です。

なぜアルコールは20gが適量なのか?
ではなぜ、純アルコール量で20gが適量とされるのでしょうか。
それは、成人(大人)が3~4時間で分解することのできるアルコールの量が20gとされているからです。

個人差はあるもののアルコール量の20gのお酒を飲んだ場合、アルコールは体内に3~4時間とどまるとされ、分解するのにそれだけの時間を要するということになります。これらのことから、簡単に言うと、夕方飲んだお酒を寝る前までに分解して就寝するのが理想というわけです。

「深酒して翌日に二日酔いになる」だとか、「飲みすぎてだるい」という症状は、実はアルコールを残したまま寝てしまうことで、寝ている間も体内ではアルコール分解に奮闘し、体が疲弊している状態なのです。

図2にアルコール健康医学協会の「適正飲酒の十か条」*1を示します。これらを参考にして適正な飲酒量を目指しましょう。“お酒は嗜好品、だからこそ長く付き合うために適量を守る。”という気持ちを忘れずに…。

もっと知りたい方へ

アルコールが心臓に及ぼす影響

「酒は百薬の長」と言われていますが、それはあくまで適量の話であり、アルコールの多飲は心臓にも悪影響を及ぼします。具体的にはアルコール摂取によって利尿作用が促され、脱水症状になることで水分バランスが崩れ、交感神経が活性化されることで心拍数が増加し循環動態に影響を与えます。

飲酒中はつまみの量が増え、食塩摂取量の増加にもつながりやすくなります。食塩摂取量が増えると血液の浸透圧の維持のために血液中の水分も増え、循環血液量が増えます。循環血液量の増加は血管の末梢血管抵抗を上昇させるので結果的に血圧が上昇してしまうのです。そもそも循環血液量が増えるということはポンプ機能である心臓の仕事量が増えるということなので、アルコールの多飲、それに伴う食塩摂取量の過剰摂取は心臓に負担がかかるということは言うまでもありません。

  • *1

    公益社団法人 アルコール健康医学協会ホームページ (http://www.arukenkyo.or.jp/ )

  • *2

    心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)