
心臓外科医でスーパーバイザーの米田先生とおしゃべりします。(2)
「狭心症」
―― おしゃべりハート。今日は、心臓外科医でスーパーバイザーの米田先生とおしゃべりします。先生、よろしくお願いいたします。
米田 よろしくお願いします。
―― 今日は、狭心症と心筋梗塞のお話を伺いたいと思いますけれども、狭心症と心筋梗塞も関係があるわけですね。
米田 はい、関係があります。心臓に栄養とか酸素を送る心臓に行く血管が詰まってだんだん狭くなってくると狭心症、つまり胸が痛くなるんですね。
―― 狭心症は「狭い心」と書きますけれども、心が狭くなるわけじゃなくて、心臓がきゅっとする。
米田 痛みの形はいろいろあるんですが、きゅっと締めつけられるような感じであったり、左手の内側がしびれるとか、あごに違和感があるとか、何となく胸の気分が悪いとか、そういう、ほかの病気と紛らわしいこともあるんです。
―― 狭心症の時というのは、心臓の状況としてはどういう状態になっているんですか。
米田 結局、心臓へ血液が十分に行かない。つまり酸素とか栄養分が十分に行かない。しかし、心臓は生きて仕事をしている状態です。
―― ポンプのための血液というよりも、心臓に栄養を行かせるための血管に血液が行っていない。
米田 そうなんです。したがって、心臓としては非常に辛い状態になるわけですね。ごはんを食べずに仕事だけしているような形になって、だんだん無理が生じてくるわけです。
―― ポンプとして出たり入ったりする血液からは栄養をもらえないんですね、心臓というのは。
米田 その出たり入ったりしているものの一部が心臓に血液として送られるんですけれども、その送っている血管が細くなるんですね。これが狭心症なんです。
―― 心臓に栄養を行かせるための血管が狭くなるから狭心症と。
米田 まあ、そうですね。―― 狭くなる原因というのはいろいろあるんですか。
米田 やはり動脈硬化ですけれども、その原因というのはいろいろです。代表的なのは5つあると言われています。喫煙、コレステロール、糖尿病、高血圧それから家族歴と言われる、血のつながりのある人に同じような病気があるというようなことですね。透析の方も油断できません。
―― 体質。
米田 体質的なことですね。およそそういった5つの原因があるんですけれども、それ以外でも、例えば最近よく新聞などで話題になるメタボリック症候群とか、あるいは太り過ぎ、あるいは運動不足、そういうのが関係してきますね。
―― 動脈硬化が起きると狭心症になるということですけれども、一方、心筋梗塞というとどういうものになるんですか。
米田 狭心症の時は、まだ血液が多少でもその血管を流れているんですね。
―― きゅっとはするけれども、まだ何とか頑張っている。
米田 そのきゅっとする血管がいよいよ詰まってしまうと、もう完全にその心臓の一部には血液が行かなくなるんですね。そうすると、その場所の心臓の筋肉が死んでしまう。これが心筋梗塞なんですね。
―― 心臓が死んでしまうわけですか。
米田 全部死なれると心臓がとまりますから、それでは人間も終わりになってしまって困るんですけれども、その血管が詰まった場所の筋肉が死んでしまう。したがって、まだその段階では患者さんは生きておられるわけです。
―― 全部死なないんですか。
米田 もちろんその血管の一番根元の太い大事なところで詰まってしまうと、突然亡くなってしまうようなこともありますけれども、もう少し端の細い枝が詰まる場合は、その枝の近くの筋肉が死んでしまうんですね。
―― そこの血管のおかげで生きていたあたりの心筋だけが動かなくなるということなんですね。
米田 そういうことです。
―― そうすると、心臓全体の動きのバランスとしては悪くなりますね。
米田 悪くなります。心不全が起こったり、あるいは不整脈が起きます。弁膜症の不整脈とはちょっと違う不整脈が多いんですけれども、その心臓の筋肉が一部死んだために起こる不整脈ですね。
―― 不整脈というのは、脈というのは、トン、トン、トンと、リズムよくしているのが、トトトトン、トン、トトンと、リズムが不規則になるのが不整脈。
米田 ただ、この場合の不整脈は、一つ間違うと、すぐに命にかかわるような、より重い不整脈が結構多いんです。ときどき大きな脈がドンと来ることもあります。
―― 心筋梗塞というのはそういう状態なわけなんですね。
米田 そうです。放っておけば非常に危ない状態ですね。
―― 狭心症自体というのは、「私、狭心症だから」というような感じの方というのはいらっしゃって。
米田 いらっしゃいますけれども、それがやはりある程度以上悪くなると非常に危険な姿になります。
―― 心筋梗塞を引き起こしてしまうということですね。心筋梗塞になると、悪い場合は命を落とすこともなると。
米田 そうです。その心配が出てきます。したがって、狭心症の段階できちんと治してしまうというのがいいわけですね。さらに言えば、そうなるまでにできれば予防するというのが一番いいわけですけれども。
―― タバコを控えて、メタボリックではない状態にしてとか、そういうことが狭心症を防ぐ。ということは、もう心筋梗塞にもなりにくい体をつくっているわけですからね。
米田 そういうことです。
―― 気をつけていただきたいと思います。狭心症というのは、先ほど先生おっしゃったように、胸がきゅきゅっとするような、痛いような感じということですか。
米田 これも、例えば2階まで上がるとか、ちょっと走るとか、何か体を動かした後で胸が痛くなるようなタイプの狭心症と、それから、別に運動しているわけではないのに、夜寝ていて明け方になると胸が痛くなってくるとか、いろいろなタイプがあるわけですけれども、どちらかといえば、体を動かしていないのに胸が痛くなるという方がより危ないですね。しかし、どちらの場合でも、胸が痛い時はまず早めに相談していただくというのがいいと思います。
―― 狭心症も検査をすればわかるわけですね。
米田 そうです。もちろん予防できたら一番いいわけですけれども、今は狭心症でも早めに見つければカテーテルやバイパス手術で治せる病気ですので、治せる病気で命を失ってしまったりしたら、それは本当に残念だと思います。
―― そうですね。心筋梗塞になる前に狭心症の段階で検査を受けていただきたいということです。狭心症も検査を受ければ簡単にわかるわけですよね。
米田 はい、わかります。検査を受けて、調べてみると、実は心臓は悪くなかったというようなこともあるんですね。むしろ、ほかの胃とか胆石とか、単に神経とか、それ以外のこともあるんです。
―― 胸がきゅきゅっと痛い場合でも。
米田 そうです。ただ、それは全然恥ずかしくないことで、やはり検査を受けて、心臓が悪くないことが確認できてよかったというふうに考えていただくといいと思います。むしろ、こんなことで検査を受けて笑われるんじゃないかと考えて、実は心臓が悪かったということの方がずっと恐いですので、検査を受けて、それほど問題がなかったら一緒に喜びましょうと。そういう考えがいいと思いますね。
―― なるほど。何もなかったら本当にみんなで喜び合えるので、むしろ、「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ」という方が心配なことにわけですね。
米田 そうです。今はカテーテルをしなくとも、新型のCTで痛み無く検査できますからずいぶん身近になりました。私は友人や近所の人たちにも疑わしい人はこの検査を勧めて病気を見つけ、何人もお助けしています。
―― 何もなかったら何もなかったで結構ですので、とにかく怪しいなと思ったら気軽に検査を受けていただきたいということです。今日もハートセンターで心臓外科医の米田先生にお話を伺いました。どうもありがとうございました。
米田 ありがとうございました。