ハートブック

心臓と循環器系

心臓病の検査

虚血性心疾患

不整脈

大血管の病気

末梢血管の病気

心肺蘇生法

心臓と冠動脈

心臓の構造とはたらき

心臓は、全身へ血液を送り出すポンプです。収縮・拡張の拍動を繰り返し、右側半分(右心房・右心室)は肺へ、左側半分(左心房・左心室)は全身へ、血液を送り出しています。心臓は、1分間に約60〜80回拍動し、送り出す血液の量は毎分約4〜6リットルにもなります。→P4挿絵

冠動脈

心臓の筋肉へ血液をおくり、酸素や栄養を供給する血管を冠動脈といいます。冠動脈は左右に1本ずつあり、左冠状動脈はさらに2本に枝分かれし、全部で3本の血管となっています。心臓をぐるりと冠のように囲んでいるため、冠(状)動脈といわれています。冠動脈が動脈硬化などのために狭くなったり、詰まったりすると、心筋へ十分な酸素や栄養が行き渡らなくなります。この状態を虚血といい、狭心症や心筋梗塞、突然死などの原因となります。近年、日本の食生活の変化などにより、虚血性心臓病の増加が指摘されています。

前から見た心臓 後ろから見た心臓

心臓病の検査

検査には一般検査と、さらによく調べるための精密検査があります。問診では、いつ、どこで、どの程度の、どのような症状が起きたかを、くわしく医師に話しましょう。問診や心電図検査で虚血性心疾患が疑われた場合、運動時の状態を調べる運動負荷心電図、心エコー検査や、24時間の心電図を記録するホルター心電図、冠動脈の状態を調べる心臓CT検査や冠動脈造影検査(心臓カテーテル検査)などを行います。

心臓CT

冠動脈造影法(心臓カテーテル検査)

カテーテル挿入位置

血管にカテーテルと呼ばれる直径1〜2ミリの細長いチューブを入れ、心臓まで挿入し、造影剤を注入してX線で冠動脈の病変部や心臓の状態を撮影します。カテーテルは、手首(橈骨動脈)、肘部(上腕動脈)、そけい部(大腿動脈)などから挿入します。

造影剤って何?

血管に穴をあけても大丈夫なの?

豊橋ハートセンターでは、日帰りでカテーテル検査を行っています。疑問や質問がございましたら、いつでもお尋ねください。

日帰りカテーテル検査について


虚血性心疾患

狭心症と心筋梗塞

冠動脈が狭くなり、一時的に心筋の酸素が足りなくなると狭心症の発作が起こります。発作時は、前胸部に締めつけられるような痛みを感じたり、圧迫感や不快感、息切れを起こすこともあります。痛みの持続時間は、数分から10分くらいで、ニトログリセリンなどを舌下服用することで発作はおさまります。ニトログリセリンが効かず、15分以上症状が続く場合は、心筋梗塞の疑いがあります。

狭心症は、誘因の観点から、動脈硬化により血管の内腔が狭くなり、運動などにより発作が起きる「労作狭心症」と、血管壁が痙攣(スパズム)を起こし、一過性に血管の内腔が狭くなり、労作の有無に関係なく起こる「安静狭心症」に分けられます。また、病状の安定性から、狭心症の状態が安定している「安定狭心症」、心筋梗塞に移行しやすいと考えられる「不安定狭心症」に分類することもあります。

P19挿絵

冠動脈が完全に詰まり、血流がとだえてしまうと、その部分の心筋が壊死してしまいます。この状態を心筋梗塞といいます。発作は、持続性の胸痛で、圧迫感、閉塞感を感じたり、冷や汗や嘔吐があることもあります。痛みは、30分から数時間も続きます。命にかかわる状態ですから、すぐに救急車を呼びましょう。

また、たとえ胸の痛みなどの症状がなくても、狭心症は100%否定できません。

症状のない心筋虚血があることはご存知でしょうか?。

高血圧・糖尿病・高脂血症・喫煙などの危険因子を持っていらっしゃる方は、定期的な心臓検診をおすすめします。

無症候性心筋虚血とは?

狭心症の治療

治療法には内科的治療(薬物療法、生活習慣の改善)、外科療法(冠動脈バイパス術:CABG)、カテーテル治療法(経皮的冠動脈形成術:PCI)があります。

P22 挿絵

ひとりひとりの血管の状態や、全身の状態により、選ぶべき治療法は変わってきます。また、病院や主治医によって異なることも少なくありません。主治医から示された治療方法が、本当に自分にあっているのか不安になられることもあるでしょう。その様な場合に、他の医師の意見を聞くことは、いまや「セカンドオピニオン」として、患者様の当然の権利です。決して遠慮される必要はありません。

セカンドオピニオンとは?

◆内科的治療

発作の寛解と予防に効く薬を、何種類か組み合わせて使います。

血管を広げる作用のある硝酸薬は、狭心症の薬として代表的なものです。

このほかに心臓の拍動数や心筋の収縮を抑えるベータ遮断薬、冠動脈攣縮による発作を予防するカルシウム拮抗薬、血管内に血栓ができるのを防ぐ抗血小板薬などが、また、高脂血症治療薬、ACE阻害薬が処方されることもあります。

動脈硬化を予防するために

原因となる動脈硬化を予防することがもっとも重要です。動脈硬化を進行させる危険因子として、高血圧。糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や、喫煙などが知られており、これらのコントロールがとても大切です。

メタボリックシンドローム

危険因子

動脈硬化は全身におこります

◆外科療法

胸を切開して外科手術を行い、狭くなった血管とは別に、血液の流れる道(バイパス)をつくり心臓の血流をよくする方法で、冠動脈バイパス術(CABG)と呼ばれています。バイパスには、胸の内側の動脈血管や、胃の動脈血管、太ももの静脈血管などを使用します。

最近では、身体への影響をより小さくするために、手術において胸の切開の部位をできるだけ小さくする方法や、心臓の拍動をとめずに手術を行う方法などが実施されるようになってきています。

→CABGの挿絵(P34)

治療法最前線(PCI)

カテーテルによって、狭くなった血管を広げ、血流を再開させる治療法を経皮的冠動脈形成術(PCI)といいます。

豊橋ハートセンターは、年間1200人以上の患者様にこの治療を行っており、その技術については、国内外で高い評価をいただいています。

PCIって何?

治療前の冠動脈造影写真 治療後の冠動脈造影写真
治療前 治療後

お腹や心臓の超音波検査(エコー)を受けられたことのある方は多いと思いますが、血管の内側をみるエコー検査があることは、ご存知ですか?。

これをIVUS(アイバス:血管内超音波)といい、当院では、心臓や足のカテーテル治療の際に、ほとんどの患者様に行っています。

IVUS(アイバス)とは?

◆バルーン療法とは?

先端に風船(バルーン)のついたカテーテルを冠動脈内に入れ狭窄部や閉鎖部でふくらませ、血管を内側から押し広げることにより、血流を確保する治療法です。冠動脈バイパス術より、患者さんの負担の少ない治療法として利用されています。痛みは感じませんが、バルーンをふくらませている1分間ほどは、圧迫感を感じます。

◆バルーン療法のしくみ
バルーン挿入
バルーン拡張
バルーン抜去(治療後)

◆ステント療法とは?

ステントとは主にステンレスでできた網状の筒です。カテーテルにステントをかぶせ、冠動脈の狭くなった部分に挿入し、ステントを留置したまま、カテーテルを抜き取ります。血管を広げた状態で固定しますので、十分に内腔が確保できるため慢性期の再狭窄を減少させることができます。

◆ステント療法のしくみ
ステント挿入
バルーン拡張(ステントが広がったところ)
バルーン抜去(ステント留置)

◆薬剤溶出ステント(DES:Drug Eluting Stent)

最近のPCIの中で、最も新しい治療方法が薬剤溶出ステント(DES)です。日本では、2004年から使用可能となっています。

薬剤溶出ステント(DES)とは?

◆アテレクトミー療法とは?

ロータブレータ

金属のバーの先端に人工ダイヤモンドがついた小さなドリルです。動脈硬化で硬くなり、通常のバルーンやステント療法では治療の難しい血管に使われます。

ロータブレーターとは?

DCA

カテーテル先端のカッターで動脈硬化の組織を直接削り取ります。

アテレクトミー療法
ロータブレーター DCA
ロータブレーター
ダイヤモンドが先端についたドリルで狭窄部分を広げます。
DCA
血管内の詰まった部分を削り取って、血流を確保します。

日常生活の注意 -再発防止のために-

治療後は無理に心臓に負担をかけないことが大切です。しかし、あまり消極的な生活もつまらないものです。バランスを取りながらストレスをためずに、前向きに明るく楽しく暮らしましょう。

◆PCI治療後の注意点

PCIとは、「血管内を広げたり削ったり」することです。そのため、どうしても血管の内壁が傷つくことは避けられません。傷ついた壁を治そうと身体が反応し、その部位を修復しようとします。

血液の固まり(血栓)がステントに出来てしまうと、せっかく治療した部位が詰まってしまい、心筋梗塞を引き起こすことがあります。予防には、抗血小板薬を飲んでいただくことが必須です。

抗血小板薬とは?

皮膚の傷が治る時に「かさぶた」が出来るのと同じように、血管の中の傷もかさぶたを作って直ろうとします。このとき、大きな「かさぶた」が出来てしまうと、せっかく拡げた血管が、また「かさぶた」によって狭くなってしまいます。これを「再狭窄」といいます。

再狭窄予防のためには、薬の内服や生活習慣の改善は欠かせません。

心臓病の危険因子とは?

◆発作時の対応

狭心症の発作はいつ起きるかわかりません。ニトログリセリンのスプレーや舌下錠を常に携帯し、発作が起きたり、起きそうな感じがしたら、すぐに服用します。

15分以上経っても効果がみられなかったり、いつもと違う発作だと感じた場合はすぐに主治医に連絡しましょう。

◆食事と運動

食事については、良質のたんぱく質、緑黄色野菜、繊維質のものを中心にバランスよく摂取し、腹8分目を基本にします。脂肪は控えめにしましょう。塩分、糖分も余計に取りすぎないようにします。肥満の人は減量を心がけ、体重測定を習慣づけましょう。これからは禁煙し、深酒は禁物です。

運動については、適度な有酸素運動(歩行、水泳、ジョギングなど)が血液の循環を良くし、からだの調子を整えます。

  • 準備運動、整理運動を行いましょう。
  • 動悸、息切れ、めまいなどの症状を感じたら、すぐにやめましょう。
  • 軽めの運動を長く続けましょう。心地よい程度で、余力を残してやめるようにしましょう。

実施にあたっては、主治医や看護婦などに運動の種類、時間、強度などを十分相談のうえ実施しましょう。

不整脈

不整脈のいろいろ

Under Construction

 

不整脈のいろいろ

治療法最前線

Under Construction

 

大血管の病気

Under Construction

 

末梢血管の病気

足の血管にも、動脈硬化があります。太ももや膝のあたりの血管が狭くなると、足の先に血液が流れにくくなり、歩くと足がしびれたり、痛くなったりします。放って置くと足が腐って切断しないといけなくなります。治療としては、人工血管(バイパス)をつなぐ外科的手術と、狭い場所を広げるカテーテル治療がありますが、当院では、このカテーテル治療(PTA)を積極的に行っており、年間200例以上の患者様にこの治療をおこなっています。

足の血管が完全に詰まってしまって、カテーテル治療は無理、といわれた患者様に対しても、新しい器具や技術を用いて当院では治療が可能です。

是非、ご相談ください。

心肺蘇生法

あなたの目の前で突然、人が倒れました。意識がなく、呼吸もしていないようです。

こんなとき、あなたならどうしますか?

それが、あなたの大切な人だったら・・・。

その様な場合、どれだけ早く救急措置を行うかで、その後の経過が大きく変わります。

まず落ち着いて、救急車を呼びましょう。周りにいる人に大声で知らせ、協力してもらうことも大切です。日本では、救急車を要請してから現場到着までの全国平均が約6分です。しかし、心臓停止後3分間そのまま放置すると、約50%の方が死亡する、といわれています。

大事なことは、救急車が着くまでの間に、そばにいるあなたの行う救急措置・・・それが、倒れた人の生死を分けることになるのです。

豊橋ハートセンターでは、毎月第3土曜日に、救命蘇生講習会を開催しています。

ご家族、皆さんで是非ご参加いただき、心肺蘇生法や除細動器(AED)の使い方を身につけてください。

いざというときに、あわてないために・・・。

AEDとは?

救急蘇生講習会について